経営計画を作らせても、発表しない/させない経営者

先週、取り組んでいる中期経営計画が、あと1回で完成しようかというところで、
中計策定のワークショップ後に、事務局の役員から飛んでもない話が舞い込んで
きました。

実力会長が、「今作っている中計は、社内発表はしない」と言っている
というのです。

もともと中計を作れ、と言い出したのが当の会長本人なのに、そろそろ出来上がる
となった時に、そう言いだしたというのです。

私を含め、皆、耳を疑いました。

さて、どうしたというのでしょう?

その役員が言うには、
「ウチの顧客の発注は、年によって波がある。今作っている中計のように
一直線には行かない」
「まぁ、皆、今回で中計の作り方を学んだんだから、またの機会にそれを活かせば
いいんじゃないか?」
ということだそうです。

まだ私自身が直接聞いたわけではないので、断定的なことは言えませんが、
いくつか原因が考えられます。

(1)途中から会長抜きでワークショップを開催した
これは、オーナー会長が居ると、皆、思ったことを言えないため、席を外して
もらいました。
ただ、検討内容については、経営企画担当の取締役経由で確認してもらっていました。
それでも、「オレの意向を十分に反映させていない」ということでヘソを曲げた
可能性があります。
オーナー経営者の気持ちというのは、複雑なところがあり、歳を取ってくると、
「自分が居なくなっても、自律的に動ける会社」を標榜しつつも、
「自分のことは、尊重してほしい」、「言うことを聞き続けて欲しい」と思っています。

(2)気が変わった時に、発表した中計に縛られるのを嫌った
非公開企業なので、株主からのプレッシャーはありませんが、「経営計画」という形で
発表すると、これまで自分の胸先三寸でころころ変えてきた方針を替えづらくなる。
ただ、経営計画と言うのは、前提となるマクロ環境や市場環境が変わったら、見直しを
することも可能なので、必ずしも「縛られる」ものではありません。

(3)社員が自分の言うことを聞かなくなることを懸念した
経営計画は、一旦作成すると、そこで設定した目標達成に向けて、皆が活動計画を
遂行していくことになります。
そうすると、社員が自分の言うことではなく、計画に従って動くことになるので、
面白くない。
これは、オーナー経営者の我がままな部分で、皆には、自分の方を見ていてもらいたい、
自分の意向や考えを尊重してもらいたいと思っているものなのです。

いずれにしても、別途ちゃんと確認しますが、お天気屋のオーナー経営者には困りものです。
そういうお天気屋さんと付き合える人たちだけが、現在も社員として残っているのでしょうね。

類似の経験や意見をお持ちの方は、どうぞご意見をお寄せください。

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